外出自粛の期間に家の大掃除をした人も多いのではないでしょうか。
私も、サイズの合わなくなった洋服を整理したり、
読み終わった本を寄贈用に梱包したり。
片づけ終わるのに、2日も費やしてしまいました。
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大掃除をしていると、大切な書類を見つけることがあります。
今回のご相談は、ご主人とふたりで大掃除中に保険証券を発見されたYさん。
ご本人からの了解を得て、実際の相談を加工してご紹介します。
*許可を得ず相談内容を投稿することはありませんので、ご安心ください
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相談者:Yさん(48歳、契約社員)
家 族:夫(52歳、会社員)
住 居:持ち家(夫名義、住宅ローンの返済まであと13年)
【加入している保険】
夫 : 主な契約は死亡保険(1500万円)、特約として入院・手術が
プラスされています
Yさん: 医療保険のみ。死亡保険には加入していません
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この保険は義母が夫のために契約し支払っていたもので、
結婚後は夫がお小遣いから毎月2万円もの保険料を負担していました。
保険の受取人が義母のままになっているため、Yさんに変更する予定ですが
そもそも子どものいない夫婦に死亡保険は必要なのか。
気になってご相談に来たとのこと。
【 回答 】
結論から言うと、
Yさんに安定した収入があり、ある程度の貯蓄もあれば
死亡保険は必要ありません
ただ、多くの方から個別相談を受けていると、
そう単純に「必要なし」と決めていいものではないと
感じています。
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① 残された家族のくらしを守るために必要な金額
まずは、ご主人に万が一のことがあった時、
Yさんの生活が成り立つかどうか を考えます。
☆ 一番大きな支払いとなるのは住宅ローン
団体信用生命保険に加入していれば保険金により弁済されるので、
その後の返済負担はありません。
☆ 次に、生活費として
・食費や通信費など日常生活にかかる費用
・自宅の維持費用
・趣味など生活を豊かにするお金
☆ その他
病気への備えや将来介護が必要になったときのために用意したいお金も
加味しておくと安心ですね。
残された家族がひとりで生活していく。
そのために必要な費用をシミュレーションすることが、
死亡保険を考える第一歩です。
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② 入ってくるお金を計算する
次に、ご主人が亡くなった後に、入ってくるお金を計算します。
・Yさんが働いて得られる収入
・遺族年金
・退職金や企業年金
☆生活費について
Yさんは仕事をしているので、すぐには生活に困ることはなさそうです。
ただ、契約社員とういところがネック。
いつまで勤務先の契約が更新できるか気になります。
☆遺族年金
「国民年金や厚生年金などの公的年金保険に加入している方が
亡くなったとき、残された家族に支給される」制度です。
生活費の下支えになる制度ですが、
子どものいない人は遺族基礎年金を受け取れない仕組みです。
なお、会社員・公務員など厚生年金に加入していた人が亡くなった
場合は、遺族厚生年金のみ受け取ることができます。
Yさんのご主人は会社員で厚生年金に加入しているため、
遺族厚生年金を受け取ることは可能です。
☆退職金
ご主人だけでなく、Yさん自身も契約満了後に受け取ることが
できるかどうか調べておきましょう。
この他にも、ご主人の会社からもらえるお金はないかも要チェックです。
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③ 必要保障額を計算する
必要保障額は、死亡保険等で準備したい金額です。
基本は、
① の残された家族のくらしを守るために必要な金額から、
② の入ってくるお金を引いた金額が必要保障額です。
ここでの計算で
足りないお金がなければ、死亡保険は必要ありません。
ただ、個別相談を受けていて思うのは、人それぞれ事情があること。
・ひとり残されたというショックから自宅に引きこもる
→ 仕事を辞めてしまい、収入が途絶えた
・子どもがいないため、相続でもめた
→ 相続財産を義妹と分けることになり現金が必要に
・ご主人の治療費がかさみ、家計を圧迫
→ 死亡保険のリビングニーズ特約を活用
*余命6ヵ月以内と判断されるとき、死亡保険金などの一部または全部を請求できる
どのケースも死亡保険に加入していたことで、なんとか窮地を乗り越える
ことができました。
先のことを見通すのは難しいことですが、
自分にとってのリスクは何かを考えておくと、いざという時に助かります。
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Yさんが亡くなったときは?
夫婦ふたりの給与で家計をやり繰りしている場合、Yさんに万一のことが
あったときの影響も考えましょう。
ご主人は住宅ローンを支払いつつ、生活にかかる費用も負担することに
なるからです。
Yさんが負担している生活費や家事を書き留めて、
ご主人ひとりでできることとできないことを分けておく
と、必要な備えに気付きます。
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● 相談後のYさんの感想
子どもがいないなら死亡保険は必要ないと思っていたので驚きました。
死亡保険以外の方法があることもわかり、相談してよかったです。
おおよそ必要な金額がわかったので、貯蓄が増えるまでは
保険金額を減額して続けます。
【まとめ 】
・残された家族がひとりで生活していくために必要な費用を
シミュレーションする
・ 家計を主に担っている人が亡くなった後に、入ってくるお金を計算する
・ 我が家のリスクを確認し必要保障額を計算 する
・ 世帯全体の収入を把握し、生活費の減少や家事負担に備える
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個別相談では、
くらしやお金の「どうすればいい?」にお答えしています。
誰に相談してよいかわからないことや、誰にも相談できないことでも
気軽にご相談ください。 話すことで、ご自身の考えがまとまり、
先がみえてくるかもしれません。
保険や金融商品を販売しておりませんので、安心してご相談くださいね。
お金の知識を得ることは、人生を豊かにします。
皆さまのお役にたちましたら幸いです。
つじもとFP事務所 辻本由香
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