先日、女性起業家が集まる会で、
「法律婚」 と 「事実婚(内縁)」 の違いは?という質問がありました。
皆さんは、これらにどのような違いがあるかご存知ですか?
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50歳からのくらし(医・職・住)と資産を守る つじもとFP事務所です。
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*神戸出身ですが、海を見るとテンションがあがります(奈良県民あるある)
【回答】「法律婚」と、「事実婚(内縁)」の違い
★「法律婚」とは
お互いが合意して「婚姻届」を提出し、受理されれば法律上の夫婦として「法律婚」が成立します。
★「事実婚(内縁)」とは
実質的には夫婦関係にありながら、
「婚姻届」を提出していないために 法律上の夫婦とは認められない関係のことをいいます。
ざっくり言うと、婚姻届けを出しているか出していないかの違いです。
それだけ?と思うかもしれませんね。 それだけなのに大きな違いがあるのです。
では、その違いで皆さんの暮らしにどんな影響があるかをご紹介しましょう。
★「事実婚(内縁)」が「法律婚」と同様に扱われる部分
法律上の夫婦ではありませんが、婚姻の規定を準用してその保護を図っています。
ですから、一部法律上の夫婦と同様に認められる権利もあります。
ただし、認められるために一定の条件があります。
① 社会保険は、事実婚にとって優しい制度。
健康保険の扶養や年金(第3号被保険者)に入ることができ、
遺族年金の受取人にもなることができます。
*市町村や保険組合など、ご加入の健康保険への申し出が必要です
*収入など条件があります
② 市営住宅や県営(都営)住宅など公営の住宅に一緒に入居することができます。
*一般的に公営住宅は友達同士の入居や学生の一人暮らしはできません
【事実婚として認められる一定の条件】
社会通念上、夫婦としての共同生活があると認められることが挙げられます。
例えば
・住民票上で同一世帯にし、続柄を「未届の妻(夫)」としておくこと
・お互いの収入に応じた生活に必要な日常の費用、子の養育費
・学費などの 生活に必要な費用を分担すること
などがあげられます。
*婚約中の同棲は、「事実婚(内縁)」とは区別されています。
「法律婚」と同じようには扱われません。
★「法律婚」でしか認められないこと
① 税金の優遇
・配偶者控除や配偶者特別控除など
・相続時の法定相続人としての権利
*遺言があれば「事実婚(内縁)」も財産を相続することは可能ですが、税制の優遇はありません
② 子どもの親権
「事実婚(内縁)」で子どもが生まれた場合、母親は法律上も親となるのに対し、
父親は認知しなければ法律上の親にはなりません。
③ 不妊治療の助成金
地域独自の助成金では、対象者に「事実婚(内縁)」を含んでいる自治体もあるようです。
★規定によっては認められること
① 会社の家族手当
② 民間保険の死亡保険金の受取り
③ 死亡退職金の受取り
④ 携帯電話の家族割引
*勤務先や保険会社などの規定によっては、認められる場合があります。
できれば前もって調べておくと安心ですね。
どんな人が「事実婚(内縁)」を選んでいるの?
★事実婚(内縁)を選んでいるのは、こんな人
・結婚という制度に縛られず、精神的に自由でいたい
・仕事や家の都合で氏名変更をしたくない(夫婦別姓を選びたい)人
・免許証や銀行口座など、氏名変更手続きが面倒な人
・家族の反対などで、法律婚に踏み切れない人
・お子さんのことを考慮して入籍するタイミングを数年後にと考えている人
など・・・
それぞれ、いろいろ事情があります。
私の周りにいる方に限れば、
周りの声に流されず自分の思いを貫いている人が多いように感じます。
★事実婚(内縁)を選んだときの注意点
① 家族と認められない
大事な人が意識不明の重体になっているのに、病院側が家族と認めず病室に入れなかったり、
急に手術が必要な場合となっても、家族として同意書にサインできなかったりします。
もしもの時に死亡診断書等の書類が受け取れないケースもあるようです。
病気や震災を機に籍を入れる人が増えるのは、こんなことも影響しているのかもしれません。
② 事実婚の関係を解消するときも、婚姻の規定が準用される
*法律婚の場合の離婚と同じように、貞操義務があり
不貞行為などの原因をつくり、
事実婚の関係を一方的に破棄した場合は慰謝料請求の対象となります。
*不貞行為がなかったとしても、
事実婚の期間に共同で築いた財産について、
事実婚解消時に財産分与の請求をすることも認められています。
いずれにしても、住民票上で同一世帯にし、続柄を「未届の妻(夫)」としておくことで、
ふたりの関係や事実婚の期間を公的に証明できるようになります。
どちらが良い・悪いということではないですし、どちらが正しいということでもない。
だから・・・
自分の気持ちを大切にしながら、誰のものでもない自分の人生を
選びとっていただきたいです。
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つじもとFP事務所 辻本由香
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