
「がん」になったことをきっかけに、離婚する方からのご相談が増えています。
財産分与について、前回に続き、離婚とお金問題をご紹介します。
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がんと向き合うFP 辻本由香です。
乳がんになった経験をもとに、
「がんとお金」「がんと仕事」の講演や個別相談を行っています。
ご相談が多い内容は、下の3つです
② 財産分与はどういったものがあるか
このページでは、②について解説します。
② 財産分与には、どういったものがある?
夫婦で協力して築き上げた財産を、離婚に際して分け合うことで、
預貯金だけでなく、不動産や車など動産のほか、生命保険や退職金も対象になる場合があります。
分与の方法は大きく3つ。
① 清算的財産分与
婚姻期間に夫婦が協力して築いた財産を2人で等しく分けるという考え方で、
婚姻中に築いた財産を1/2ずつ分けていきます。
*通常の財産分与は、この清算的財産分与をいいます。
*夫婦の一方の収入が極端に多い、共働きなのに 一方だけ育児や介護を負担していたなど、
それぞれの貢献度に応じた分配になることもあるようです。
☆ 生命保険
死亡保険など解約返戻金のあるタイプの生命保険や積立型の損害保険、子どもの学資保険など
☆ 退職金
将来的に支給されることが見込まれる場合は、分与される可能性あり。
将来受け取るかどうかわからない退職金の分割は認められない場合も。
分与される場合でも、婚姻期間に相当する金額だけが対象となる。
離婚をする際、夫婦の一方が生活に不安がある場合に、
収入の多い方から少ない方へ、一定の期間生計を補助することをいいます。
がん患者さんは生活にかかる費用の他に治療費の負担もあることから、
たとえ数万円でも補助があると金銭的にも精神面でも楽になります。
本来、夫婦は病める時も健やかなるときもお互いを支えあうもの。
離婚後の生活や治療が落ち着くまでの間だけでも、交渉する余地はあると思います。
その際は、公正証書を作成しておくことをお勧めします。
あとから「そんな話はしていない」と言われないためのお守りです。
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がんになったことで感じる痛みをトータルペイン(全人的苦痛)といいます。
ひとりでいろいろ考えることが難しい。
そんな時は弊社の 個別相談 をご活用ください。
患者さんやご家族の伴走者として、可能な範囲でサポートいたします。
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知識を得ることは、人生を豊かにします。
皆さまのお役にたちましたら幸いです。
がんと向き合うFP 辻本由香
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著作権はつじもとFP事務所に帰属します ●執筆者:辻本由香
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制度面だけでなく、いろんな角度からお伝え出来ることはないか模索してできた本です。
ゲノム医療や妊孕性、気持ちの保ち方などにも触れ、
「よくあるノウハウ本ではなく、血の通った本」との声をいただいています。