乳がん患者以外の人からも、よく質問を受ける「乳房再建」。
再建する・しないの 基準は何か、気になるようです。
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がんと向きあう つじもとFP事務所です。
乳がんになった経験をもとに、
「がんとお金」「がんと仕事」の講演や個別相談を行っています。
8年前に乳がんになり、
初期だったにもかかわらず右胸を全摘しました。
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「全摘」したというと、そのあと「どうしたのだろう」と思うようで。
再建したの?と聞かれることが多いのですが、
☆私は、再建することは全く考えず。
理由は「面倒」だったから (笑)
☆再建しようと考えた人は
・胸のない自分の姿を見るのがツラい
・「がん」になる前の自分に戻りたい
・結婚の予定があって、好みのウエディングドレスを着たい
・趣味がスイミング。着替えや水着姿に自信が持てない
・子どもが泣いた
など、それぞれの事情があるようです。
わたしが面倒だと思った理由はふたつ
1. 再建には手術が必要
2. お金がかかる
☆ 再建手術には、
① 人工乳房手術(シリコン・インプラントを用いた乳房再建)
② 自分の組織を移植する手術
の、2種類があって、
一般的に
①の場合、入院期間は最短で3日程度。
*再建手術の前に胸を膨らませて人工乳房を入れるスペースを作るために
(ティッシュ・エクスパンダ―による組織拡張手術)4~6ヶ月の準備期間が必要です。
②の場合、入院期間は手術後10~14日程度。
*自分のお腹や背中の組織を移植する手術
将来妊娠・出産の可能性がある場合は帝王切開ができなくなるため適応できないこともあります。
☆ 再建費用
乳がん手術と同時に再建する場合や、一定の期間をおいてから改めて再建する場合があり、
どの方法を選ぶかによって変わります。
一般的に
①は、40~50万円程度
②は、30~60万円程度 と、見積もっておくと安心です。
なお、健康保険の高額療養費制度を利用すると、おおよそ10万円程度の負担に抑えられます。
*収入や年齢などによっても金額に違いがあります。
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私の場合、誰に見せるでもないので、面倒なことはできるだけ避けようと思いました。
外見が変わることで仲が悪くなる夫婦もあるようですが、
ダンナ君(夫)は「外見」より「命」と言ってくれて、ホッとしました。
万が一、両胸が全摘になって洗濯板のようになってしまったら。
そのときは乳房再建を考えます。
患者仲間との合言葉は
目指せ!叶姉妹!!
「再建する・しない」のどちらが良い・悪いではなく、
自分にとって、いま必要だと思うことに向きあえばいいんじゃないでしょうか。
知識を得ることは人生を豊かにします。
皆さまのお役にたちましたら幸いです。
つじもとFP事務所
辻本由香
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著作権はつじもとFP事務所に帰属します ●執筆者:辻本由香
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