Q. がん患者は住宅ローンを組めますか?


  がん患者さんから増えているご相談。
  「がんになっても住宅ローンが組めるか心配です」

 

  一般的に「がん」になると民間の保険に加入しにくいため、
  家を購入する際に住宅ローンが組めるか心配になる方が多いようです。

 

 

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     がんと向きあう つじもとFP事務所です。

     乳がんになった経験をもとに、

    「がんとお金」「がんと仕事」の講演や個別相談を行っています。

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     A.  住宅ローンが組める可能性はあります         
      

       個別要素が強いのですが、組める可能性はあります。



       民間の住宅ローンを借りる場合、

       団体信用生命保険(団信)への加入が条件になっていることが多く、
       現在の健康状態や病歴など告知内容によっては、加入出来たり出来なかったりするのです。
 

 

       *団信とは、住宅ローンの契約者(債務者)が、返済中に死亡したり
        
高度障害になったりした場合に、保険会社が契約者に変わって
        
ローンの残債を保険金で完済してくれる生命保険です。  
    

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      告知の内容は、
 
      1)最近3ヵ月以内に医師の治療(指示・指導を含む)・投薬を受けたことがありますか?
 

      2)過去3年以内に下記の病気で、手術を受けたこと
         または2週間以上にわたり医師の治療(指示・指導を含む)・投薬を
         受けたことがありますか?

       *下記の病気とは
       ・ガン、肉腫、白血病、腫瘍、ポリープ
       ・脳卒中(脳出血・脳梗塞・くま膜下出血)、脳動脈硬化症、その他脳の病気
       ・精神病、うつ病、神経症、てんかん、自律神経失調症、アルコール依存症、
        薬物依存症、知的障害、認知症

       など。

      3)手・足の欠損または機能に障害がありますか?
         または、背骨(脊柱)・視力・聴力・言語・そしゃく機能に障害がありますか?

 

      以上、、(1)~(3)のすべてが「なし」であれば、一般的には加入できます。
      

      団信の加入は金融機関ではなく保険会社の審査によります。    

      ただ、すべて「なし」だったとしても、「がん経験者」とつたわると、    
      再発や転移のリスクがあると判断されて、
      審査の前に金融機関からローンの借入れを断られる場合もあるようです。



      私は、住宅ローンの借り換えができませんでした。
      手術から2年しか経っていなかったため、団信に加入できないことがその理由です。
 
      ローン金利が高かったので、見直したかったんですよね。

      返済能力があっても借りられない。
      がんって厄介な病気だと改めて思いました。

 

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      Q. 団信への加入ができなければ、住宅ローンは組めないの?

 

      A. 住宅ローンが組める可能性はあります。

 

       1)加入済みの死亡保険金を提示する

          金融機関が不安なのは、貸したお金が返ってくるかどうか。
          そこで、万が一にローン金額と同等以上の死亡保険金が支払われるようなら
          お話しを聞いてくださる金融機関もあるようです。

 

       2)団信不要の「フラット35」でローンを考える

          住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供しているフラット35は、
          団信への加入は必須ではありません。
         
          しかしながら万一のときは、
          住宅ローン残高の債務を相続した家族に、返済する義務が残ります。

 

       購入できるかどうかに気持ちが向きがちですが、

       大切なことは返済を続けていけるかどうか。

 

       考えたくはないですが、再発・転移も心配です。

       ご家族も交えて、無理のない範囲で住宅購入を検討してくださいね。

 

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       知識を得ることは、人生を豊かにします。
       皆さまのお役にたちましたら幸いです。

       がんと向きあうFP   辻本由香

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           著作権はつじもとFP事務所に帰属します  ● 執筆者 辻本由香   


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