末期がんの患者さんが要介護の調査前に亡くなってしまったという
ニュースが話題になっています。
厚生労働省は、がん患者さんなど介護サービスの提供に急を要する方について、
速やかにサービス提供を開始することの必要性を周知しています。
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がんと向き合うFP 辻本由香です。
乳がんになった経験をもとに、
「がんとお金」「がんと仕事」の講演や個別相談を行っています。
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がんが進むにつれ体調や精神面に負担がかかり、日常生活が困難になることのある病気です。
そのような時に、介護サービスが使えると大きな助けになります。
☆介護保険制度とは
高齢者や障害者が必要とする介護サービスを受けられるようにするための社会保険制度です。
介護保険の対象となるのは、
①65歳以上の高齢者
②40歳から64歳までの特定疾病(がん、脳血管疾患、認知症など)を有する人
*②のがんについては、医師が一般に認められている医学的知見に基づき
回復の見込みがない状態に至ったと判断した場合に限られています。
介護が必要な場合、まずは市区町村に申請を行い、要介護認定を受ける必要があります。
市町村によって違いがありますが、申請から患者さんへの訪問調査まで平均的に
2週間程度かかることも多いようです。
認定プロセスには、申請から訪問調査、医師の意見書の提出、審査会の審査といった
複数のステップがあるため、実際にはもっと多くの時間がかかっているのでは?と推測されます。
☆速やかな介護サービス提供が求められている
厚生労働省は上記のような状況を鑑み、県および市区町村に、
がん等の方に対する速やかな介護サービスの提供について事務連絡を発出しています。
がん等の方に対する速やかな介護サービスの提供について
私の父は肝臓がんで亡くなっていますが、ある時を境に短期間で急激に体調が悪化しました。
要介護認定がでるまでの間に、患者さんの状態が悪化してしまうこともあるのです。
話題になったがん患者さんも、申請の2日後に訪問調査の日程が設定されましたが、
体調不良により延期になったことで、残念ながら介護認定を受ける前に亡くなられたそうです。
認定前に利用したサービスが、全額自己負担になってしまったことも問題視されています。
日本の社会保険制度は、他国と比べかなり充実しています。
ただ、申請しなければ受けられないことろが大きなネック。
まだ早いと思っている患者さんやご家族への声かけも必要だと感じています。
介護保険が使えない40歳未満のがん患者患者さんについても、在宅療養費を助成している
自治体があります。
相談できる人・場所と繋がることで、多くの患者さんとその家族が
安心して過ごせることを願っています。
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知識を得ることは、人生を豊かにします。
皆さまのお役にたちましたら幸いです。
がんと向き合うFP 辻本由香
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